2026年9月4日にMicrosystems & Nanoengineeringで公開された研究は、植込み型TMRマグネトロードの感度と方向情報を同時に改善した。差動構成では1 kHzの検出限界が68 pT/√Hzとなり、同一デバイスのsingle-ended 107 pT/√Hzを上回る。磁気遮蔽のない実験室では50 Hz電源ピークが18.961から0.433 nT/√Hzへ低下し、約98%のコモンモード抑制となった。ラット海馬CA1では活動電位に関連する磁気spike状信号と、局所神経電流の異なる投影方向と整合する極性反転が得られた。
何が変わったか
| 指標 | 従来基準 | 新結果 |
|---|---|---|
| 2024 TMR、1 kHz LOD | ~300 pT/√Hz | 68 pT/√Hz |
| 同一2026センサsingle-ended | 107 pT/√Hz | 68 pT/√Hz differential |
| 50 Hz干渉 | 18.961 nT/√Hz | 0.433 nT/√Hz |
| センサ・参照間隔 | 28 μm / 2.5 mm | 5 mm |
GMRマグネトロードによるin vivo神経磁場記録はすでに存在し、2025年にはラットで単一ニューロン活動電位の磁気シグネチャも報告されている。TMRも2024年に約300 pT/√Hz、2026年のLFP実装で約140 pT/√Hzだった。したがって本研究はTMRシステムの大きな前進であり、神経磁気記録そのものの世界初ではない。
なぜ磁気記録は異なるのか
イオン電流は電位差だけでなく磁場も生む。磁場はセンサ感度軸に対して符号を持つため、電流の投影方向が反転すれば測定極性も反転し得る。この性質が方向情報の源になる。
工学アーキテクチャ
MEMSプローブは200 μm厚のシリコンshankを使う。各ユニットには約15 × 45 μmのMTJを12個直列接続する。測定・参照ユニットのTMR比は121%と119%、線形感度は12.30%/mTと12.96%/mT。環境磁場は二つのチャネルにほぼ共通する一方、局所神経磁場は距離とともに急減するため、差分で共通ノイズを抑えられる。独立Wheatstone bridgeと可変増幅利得が製造差を補償する。
参照が28 μmでは近すぎ、目的信号まで消えてSNR利得は−8.68 dBまで悪化した。5 mmでは最大+4.19 dB改善した。50 Hz抑制は eta50 = (1 - A_diff/A_single) × 100% で、0.433/18.961から約97.7%となる。
CA1で何を記録したか
雄Sprague-DawleyラットのCA1に植込み、磁場単位へ校正後、300–3000 Hzでband-passし、背景RMSの3倍を超えるイベントを抽出した。波形clusterには逆極性群があり、局所電流がセンサ軸へ異なる向きに投影された解釈と整合する。
ただし12 MTJの有限面積は同期したmulti-unit活動を積分し得る。支持されるのは活動電位関連の局所磁気記録であり、各磁気spikeが単一ニューロン由来とは保証されない。
生体適合性と限界
SiO2/Si3N4各200 nmの二層passivationを用いる。細胞試験と7日後組織評価は良好だが、慢性安定性は未証明である。シリコン剛性、micromotion、異物反応、packaging、長期drift、多チャネル化、独立追試が残る。
新しい状態
重要なdeltaは68 pT/√Hz、強い共通モード除去、CA1 in vivo、方向性を持つ極性情報の組合せである。慢性植込み、ヒト、大規模array、単一ニューロン保証、独立追試はまだない。
証拠状態
査読済み · ラットin vivo · 論文/補足資料に評価用データあり · この2026差動構成の独立追試は未確認。