確率
定義 事実
確率とは、事象に与えられる 0 以上 1 以下の数であり、起こりうる結果全体のなかでその事象が占める割合を測る。
結果全体のなす集合を標本空間といい、Ω と書く。事象はその部分集合である。「さいころが偶数を出す」は部分集合 {2,4,6} にあたる。
三つの公理 事実
確率の計算はすべて、三つの言明のうえに立つ。それ以外には何もない。
| 公理 | 言明 | 課すもの |
|---|---|---|
| 非負性 | P(A)≥0 | 確率が負になることはない |
| 全体の質量 | P(Ω)=1 | 何かは必ず起こる |
| 加法性 | A∩B=∅ のとき P(A∪B)=P(A)+P(B) | 両立しない事象は足し合わされる |
三つめは可算個の和にも及ぶ。無限の標本空間を扱うにはこれで足りる。
そこから導かれること 事実
この三つは恣意的な出発点ではない。よく使う等式はここから生まれる。
P(Aˉ)=1−P(A)P(∅)=0P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)
最後の式は二重計上を正す。P(A) と P(B) を足すと両方に属する部分を二度数えるので、一度引かねばならない。加法性そのものは互いに素な事象にしか使えない。
条件つき確率と独立性 事実
B が起きたと知ることは、A の占める割合を変える。そこで標本空間を B に制限する。
P(A∣B)=P(B)P(A∩B),P(B)>0
この制限が何も変えないとき、二つの事象は独立であるという。P(A∣B)=P(A)、すなわち P(A∩B)=P(A)P(B) と同値である。
独立性は数値の性質であって、直観ではない。因果的なつながりがなくとも従属でありうるし、その逆も起こる。
公理が語らないこと 事実
この形式体系は計算規則を定めるだけで、その意味については沈黙する。二つの読みが並び立つ。頻度主義では、確率は反復における頻度の極限である。ベイズ主義では、改訂されうる信念の度合いを測る。
どちらも同じ三つの公理に従い、同じ数を出す。対立は解釈にあり、計算にはない。
まとめ
三つの公理が確率計算のすべてを支え、そのいずれも確率の意味を語らない。
