述語
定義 事実
命題とは、真か偽かが定まる文である。「7 は素数である」は真、「8 は素数である」は偽。
述語にはその性質がない。「x は素数である」は真でも偽でもなく、x に依存する。穴のあいた文であり、穴が埋まってはじめて真理値を返す。
自由変数と束縛変数 事実
変数が自由なままである限り、文に真理値はない。それを閉じる操作は二つある。
| 操作 | 例 | 結果 |
|---|---|---|
| 具体化 | P(7) | 真 |
| 全称量化 | ∀x,P(x) | 整数上で偽 |
| 存在量化 | ∃x,P(x) | 整数上で真 |
量化された変数を束縛変数という。自由変数をもたない文は命題であり、真理値をただ一つもつ。
量化子の順序 事実
種類の異なる二つの量化子は交換できない。整数上で、S(x,y) を「y は x より大きい」とすると:
∀x∃y, S(x,y)は真
∃y∀x, S(x,y)は偽
前者は、どの整数に対してもより大きい整数が存在する、と述べる。y は x に依存してよい。後者は、すべてより大きい整数が存在する、と述べる。最大の整数であり、そんなものはない。
同じ記号を逆順に置いただけで、一方は真、他方は偽になる。極限の定義が交換不能なのも同じ仕組みによる。
量化された文の否定 事実
否定は量化子を入れ替えながら通り抜ける。
¬∀x, P(x)⟺∃x, ¬P(x)
¬∃x, P(x)⟺∀x, ¬P(x)
「すべて素数である」の否定は「どれも素数でない」ではなく、「素数でないものが存在する」である。全称は反例ひとつで覆るが、存在を覆すには領域全体を調べ尽くさねばならない。
領域は文の一部である 事実
述語は、宣言された領域のうえでしか判定できない。「∃x, x2=2」は Q 上で偽、R 上で真である。式は変わっておらず、変わったのは全体集合のほうである。
領域を省くことは、文を未確定のまま放置することにあたる。意味が曖昧なのではなく、真理値をもたないのである。
まとめ
述語は、変数が固定されるか、宣言された領域のうえで量化されたとき、命題になる。
