実数
定義 事実
実数とは、連続な直線上の点である。整数も、分数も、根号も、π も、そこに場所を占め、空いたままの位置はひとつもない。
集合 R を定めるのは、含まれる数の一覧よりも、むしろこの隙間のなさである。
各段階が可能にすること 事実
| 集合 | 含むもの | 可能になること |
|---|---|---|
| N | 0、1、2、… | 数える |
| Z | … 、−1、0、1、… | 外に出ずに引く |
| Q | 分数 p/q | 外に出ずに割る |
| R | 直線上の点 | 外に出ずに極限をとる |
各段は下の段の欠落を補う。最後の段だけは性質が異なる。失敗するのは演算ではなく、行き着く先をもたない数列である。
有理数の隙間 事実
平方して 2 になる分数は存在しない。既約分数 p/q が (p/q)2=2 を満たすとする。すると p2=2q2 ゆえ p は偶数、p=2m ゆえ 4m2=2q2、ゆえに q も偶数。両者が偶数となり、既約という仮定に反する。
それでも 2 は存在する。一辺 1 の正方形の対角線である。有理数は、まさに作図できる場所に隙間を残している。
完備性 事実
R を特徴づける性質は一文に収まる。空でなく上に有界な部分集合は、必ず上限をもつ。
平方が 2 未満である有理数の集合をとる。空でなく、上に有界である。しかし Q の中では最小の上界をもたない。どれをとってもより小さい上界が見つかるからである。R ではその最小の上界が存在し、それが 2 である。
この性質が R を特徴づける。同型を除いて、完備な全順序体はこれひとつである。
より大きな無限 事実
有理数には番号をつけられる。整数で添字づけられた一列に並べられるからである。実数はそうはいかない。どんな一覧も尽くせない。
実数の無限は有理数の無限より厳密に大きい。それでいて有理数は実数のなかに至るところ稠密である。相異なる二つの実数のあいだには、どれほど近くとも、必ず有理数がひとつ入り込む。
まとめ
実数とは完備化された有理数である。極限は必ずどこかに行き着く。
