エネルギー保存則
定義 事実
外部と物質もエネルギーもやりとりしない孤立系では、全エネルギーは一定に保たれる。
生じることも滅することもない。姿を変え、移り、分かれ方を変えるだけである。
形は変わり、量は変わらない 事実
| 変換 | もとの形 | 変わった先 |
|---|---|---|
| 物体の落下 | 位置エネルギー | 運動エネルギー |
| 制動 | 運動エネルギー | 熱 |
| 燃焼 | 化学エネルギー | 熱と放射 |
| 光合成 | 放射 | 化学エネルギー |
どの行でも合計は変わらない。理想的な振り子は位置と運動のエネルギーを限りなくやりとりする。現実の振り子がやがて止まるのは、エネルギーが消えるからではなく、空気や軸受へ熱として散っていくからである。
「孤立」という語がすべてを担う 事実
開いた系ではエネルギーは変化する。やりとりを数え入れさえすれば、収支はやはり厳密である。
ΔE=W+Q
系のエネルギー変化は、受け取った仕事と受け取った熱の和に等しい。これが熱力学第一法則である。孤立していない系について述べられた保存則にほかならない。
境界を広げて外部まで包み込めば、孤立系の場合に戻る。保存則が破れることはない。何を数えているかを宣言せよ、と求めるだけである。
質量とエネルギー 事実
関係式 E=mc2 は保存則に反しない。その適用範囲を広げるのである。質量はエネルギーの一形態であり、保存されるのは質量を含めた全エネルギーである。
核反応では、反応物の質量の一部が放射と運動のエネルギーとして現れる。失われるものはない。質量をエネルギーとして数えた瞬間に、収支は閉じる。
この法則はどこから来るか 事実
エネルギー保存則は、観察された事実を後から規則に格上げしたものではない。ネーターの定理は、物理法則の連続的な対称性のそれぞれに、保存量が対応することを示す。
ここで働く対称性は、時間並進に対する不変性である。他の条件が同じであれば、今日行う実験も明日行う実験も同じ結果を与える。エネルギー保存則はこの不変性から導かれる。
まとめ
孤立系のエネルギーは量を変えずに形を変える。物理法則が日付に依らないからである。
